日本のスポーツ車 1960〜1990



第82回 マツダ コスモ2ドアHTロータリー・ターボ
(HBSN2型)1982年8月

最高速=213.33km/h  0-400m=15.73秒(テスト値)



ターボ旋風に吹かれてREもついにターボ化。
 初代コスモは国産初のロータリーエンジン搭載スポーツカーとして大いに脚光を浴び、そしてしぱし間を置いて登場した2代目モデルは、ロータリーエンジン搭載のスペシャリティカーとして、高級志向の高まった市場で大成功を収めた。
そしてその後を引き継ぐ形で81年9月にフルェンジによって登場したのが、この3代目モデルである。
つまりコスモという名前を冠す以上、ステータス的にも営業的にも、極めて大きな期待をかけて送り出されたクルマというわけだ。
 しかし生産設備などの都合から、デビュー当初はバリエーションが非常に少ない状態でスタートしなければならなかった。
ボディは最終的に2ドアと4ドアのHT、そして4ドアサルーンという3種類が用意される予定だったが、デピュー時に発表されたのは2ドアHTのみ。
4ドアHTと4ドアサルーンは、この時双子車関係となったルーチェの方でお披露目されることになった。
 またボディのバリエーション以上にファンをがっかりさせたのは、ロータリーエンジン搭載モデルが設定されていなかったことだった。
搭載していたのはMA型というレシプロ2000ccのみ。最高出力はEGI仕様でも120PS/5500rpmで、13Bパワーにものを言わせていた2代目モデルの元気の良さに較べると、かなり寂しい状態だったのである。
 ただしボディデザインは、マツダの意気込みの強さが伝わってくる斬新なものだった。
思いきりウエストラインを下げて広いグラスエリアを確保し、フロントには角4灯のリトラクタブルヘッドランプを装着。スタイリッシュでありながらも、強烈な個性を持った外観を作り上げていた。
 寂しかったバリエーションも、デピュー後1ヶ月で4ドアHT、4ドアサルーンが追加され娠やかになった。
またエンジンも1800ccや2200ディーゼルに加えて、ロータリーエンジンも追加されるようになり、ようやくコスモらしいラインアップを形成したかに見えた。
しかしここでもコスモファンにとっては悲しい現実が待ちかまえていた。
追加搭載されたロータリーエンジンは、バワフルさで定評だった13Bではなく排気量の小さい12Aだったのだ。それも省エネ対策が施された6PIタイプ。数f直酌には130PS/7000rpmを発生してはいたが、牙をもがれてしまったような頼りないフィーリングだったのである。
また皮肉なことに、マツダとしては初採用のセミトレーリング式リアサスペンションの出未など、シャシまわりの完成度が非常に高く仕上がってしまったのが、より一層アンダーパワー感を強める結果にもなってしまった。
 82年にもなると、気持ちのいい走りを求めて買い替え待ちをしているユーザーの我慢も、いよいよ限界に達するが、夏になってようやくコスモの名に恥じないようなハイパフォーマンスモデルが投入されることになった。それがコスモREターポである。
 ベースエンジンは相変わらず573ccx2ローターの12Aだったが、6PIではない4ポートのハウジングを採用。それに日立製のターボチャージャーを組み合わせた新パワーユニットは、160PS/6500rpmの最高出カと23.0kgm/4000rpmの最大トルクを発生した。
 このターボエンジンの採用によって、コスモの動力性能は一躍国産車トップクラスに踊り出た。
Cd値=0.32という抵い空気抵抗係数に加えて、この種のスペシャリティとしては前面投影面積も小さく、最高速は当時としては最遠の213.33km/hをマーク。0→400m加連は15.73秒だった。
デビュー後2年経って、やっとコスモという由緒ある名前を引き継ぐに相応しい性能を手に入れたわけだ。
 83年10月のマイナージェンジでは、12Aターボは165PSへとパワーアップ。それと同時に13Bロータリーが、動的過給型吸気方式のスーパーインジエクションを採用し、160PSの最高出力でカムバックを果たしている。


ファミリアXGなどとも共通する3スポークのステアリングを装着。一見アナログ式に見えるスピードメーターも電子式デジタルメーターとなる。 82年月にロータリーエンジン(12A)を搭載し、同年8月にターポを装着した。出力は160psとノンターポに比べて30psもの大幅アップとなった。 目立製HT18-BMターポチャージャー。ターボの採用により圧縮比は9.5から8.5へ、さらにノックコントローラー、排気ポートの拡大などエンジン本体の改良もなされた。


主要諸元 マツダ コスモ2ドアHTロータリーターボ

コスモのロータリーモデルは全てターポ付きロータリーへと変更された。このエンジンは2ドアHTだけでなく4ドアHTやサルーンにも積まれていた。
●バリエーション
1981年9月 コスモ2ドアHT2000XG

コスモがフルモデルチェンジし、丸味を帯ぴたシルエットになった時は、レシフロの2000ccエンジンのみを搭載していた。EGIと組み合わされ120psという出力。エンジンバワーよりもむしろCd値0.31を売り物にした。
  エンジン 
    種類/型式
    ボアxストローク
    総排気量
    圧縮比
    最高出力
    最大トルク
    燃料供給装置
    燃料タンク容量
  トランスミッション
    型式
    変速比 1/2/3
          4/5/R
    最終減速比
  シャシ
    ステアリング
    サスペンション 前
              後
    ブレーキ      前
              後
    タイヤ
  ディメンション&ウェイト
    全長x全幅x全高
    ホイールベース
    トレッド    前/後
    最低地上高
    室内長x幅x高
    車両重量
    乗車定員
  車両価格(当時)
          241.2万円

直2・ローターターポ/12A
−−−
573ccx2
8.5
160PS/6500rpm
230kgm/4000rpm
電子制御燃料噴射(EGI)
60リットル

5MT
3.522/2.186/1.419
1.000/0.791/3.493
3.909

R&P(パワー)
ストラット/コイル
セミトレ/コイル
Vディスク
Vディスク
195/70SR14

4640x1690X1340mm
2615mm
1430/1425mm
155mm
1645x1410x1100mm
1205kg
5名

●カタログ
82年1月に搭載された12Aロータリーは、RE6PIと呼ばれた。これは従来1ローターにプライマリーとセカンダリーの2つのポートだったのを3つに増やし、2ローターで計6ポートとなったことを示す。

●当時のインプレッション
レシプロターポの台頭で高性能イメージに翳りが見えたREだったが、12A型REターボ搭載のコスモのおかげで、再び最速戦線に踊り出た。さすがに3000rpm以下のトルクはスカスカだったが、そこから上はパワーの洪水というくらいの凄さを感じさせたもの。滑らかな高回転域の吹き上がりにも拍車をかけていた。空カ性能に優れたボディもあって、高速域での加速カばピカ一。サスはGTが思いきりハード、リミテッドはソフトだ。

●広 告

当時、マツダの広告は見せるというより読ませる意見広告を採用。中身も農く、これらの広告を熱心に読む読者も多かった。REとターボの相性がよいのは、91年のル・マンの優勝を見ても分かるはず。
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